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  帰国子女コースの教え方
 

当校では、1991年7月の設立以来帰国子女コースを設置しています。現在では350名以上の生徒様が熱心に学習をされていますが、1991年の10月生開講時点では、高学年レベルが1クラス・低学年レベルが1クラスしかありませんでした。確か高学年クラスが生徒様1人、低学年クラスは2人在籍されていたと記憶します。その後、徐々に生徒様の人数が増加しました。生徒様が増えると共に、様々なご意見を頂くようになりました。それらのご意見を真剣に捉え、改革を重ねた事が現在の定評ある授業運営に繋がったのだと考えます。
 
 当時、保護者様から頂いたご意見(ご質問)の中から主な物を2つ紹介します。1つは、「帰国子女のお子様は海外の学校に通っていた訳ですから、当然日常会話は出来ます。日常会話は出来るのに、なぜお子様が答えられるような内容の会話練習をするのですか」というご質問がありました。2つ目は、「ただ会話練習をしているだけで、本当に語学力を維持できるのですか」というご質問です。1つ目の、「なぜ子供が当然分かる内容の会話練習をするのですか」というご質問に関しては、教科書のレベルを調整する事で保護者様のご要望に答える事が出来る様になりました。簡単に説明をすると、帰国子女の生徒様が海外から日本に帰国すると、大小はあったとしてもカルチャーショックを受けます。今まで一生懸命勉強して得意だった英語が、日本の初等教育ではあまり役立ちません。当校の近くにF小学校という、日本で一番帰国子女在籍数の多い学校がありますが、いくら帰国子女同士であっても、日本の学校生活の中でお互いが英語で話したりはしません。日本の小学校で帰国子女同士が英語で話したりすると、「なに格好をつけているんだ」と馬鹿にされてしまうことさえあるかもしれません。それよりも、自分の国語力が他の生徒さんより遅れている事の方が気になります。お子様なりに、早く日本の学校に追いつかなければと考え一生懸命勉強をします。多くの方々は、例え家庭教師をつけなかったとしても約1年で周りのお友達と同じように日本の授業についていけるようになります。但し、日本の学校についていける能力を養う事の反射作用として、今まで一生懸命学習した英語をあまり積極的に話さなくなってしまいます。従って、帰国直後のお子様に対しては、あまり難易度の高い教材を使用するよりも、お子様のレベルより少し簡単な教材を使用する事により、当然お子様は教科書の内容を理解できるので会話量が上がるということが分かりました。但し、日本の学校に慣れた約8ヶ月~12ヶ月以降、今度はお子様のレベルよりも少し難しい教科書を学習する事を通して、お子様の語学能力を引き上げていかなければならないというのが当校の研究結果です。
 
 2つ目の、「会話練習ばかりしていて本当に語学力が維持できるのか」に関してですが、このご質問(ご要望)についても当校は真剣に研究を致しました。通常日本では、周りに英語で話を出来る友達は多くありません。従って、まず最初に実施した事は、最低限当校のレッスンでは、極力日本語を使わないように講師が指導をする事です。お子様同士ですから、場合によっては隣のお友達と日本語で会話をしてしまう事がありますが、クラスの中で日本語を使う人がいた場合、講師がすぐに日本語を使わないよう制止するように致しました。講師が意識して、生徒様が日本語を使わないように指導する事により、当然帰国子女の皆様は英語で日常会話が出来るわけですから英語だけでレッスンを行う環境を作ることが出来ました。 次に考えた事が、確かに会話の練習ばかりを行っていると、既に自分が知っている単語だけで会話をする習慣がついてしまいます。例えば、小学校低学年生で帰国した方の場合、まだ語彙はさほど多くありません。小学校6年生になっても2年生と同じような話し方をしていたら、語学力が上達したとはいえません。ここで着目したのが、例え海外で学習をした経験がなくても、日本で一生懸命学習をして通訳者になる方もいると言う事です。この様な方は、どのように学習をしたのだろうと興味を持ち、通訳の教授法について研究致しました。一言で言ってしまうと、プロの通訳者になる為には、政治・経済・歴史・文化など幅広い話題に対して対応できなければならないということです。
 
 ここからヒントを得て、帰国子女コースでは2冊の教材を使用するように致しました。1冊は会話の教科書です。英語は、ある意味スポーツと似通ったところがあり、一度身に付いた言語能力は完全になくなってしまう事はありません。しかし、定期的に会話練習をしないと、流暢さは衰えてしまいます。会話の教科書に加えて、2冊目の教科書は、海外の小・中・高等学校で実際に使用される英語・算数・理科・社会・歴史・地理・科学・物理・メディアなどの教科書です。これらの教科書を使う理由は、年齢相応の知識を身に付けさせてあげるところにあります。
 
 但し、いくら海外の教科を取り入れても、講師が一方的に理科の講義をしていたのでは語学力の向上に繋がりません。従って、例えば理科の教科書を使うクラスで「人間の歯の役割」について学習する場合には、まず最初に講師が学習する内容を口頭で説明します。次に交代で教科書の読解を行います。読解をした内容について講師が質問をし、その質問に生徒様が正しい文章で答える練習をする事を通して知識の向上と会話練習の両立が可能となりました。
 
 その他に、学習途上で必ず文法学習の時間を設ける事も必要です。この理由は、海外では毎日ネイティブスピーカーと話をする機会があります。もし間違った話し方をすると、「おまえ言っている事がおかしいよ。」などと相手が指摘をしてくれます。日本では自分が間違って話した内容を訂正される機会はあまりありません。従って、文法を学習する事により、自分が正しく話しているかどうかを判断できる能力を養う事が大切です。
 
 次にいくら教科の学習をするといっても、週1回のレッスンではすべてをカバーする事は出来ません。学習できる内容も限られています。従って、帰国子女コースの小学校高学年生以上のクラスでは、学期の途中で何回かエッセイライティングの時間を設けています。習った内容のSummaryや自分の感想を書く事により筆記力を向上させ更に語彙を強化する事が出来ます。
 
 ここまでのセクションは、当校がどのように授業の内容を改善してきたかいくつか例を紹介しましたがこれらは改善内容のほんの一部です。現在でも海外より様々な教材を取り寄せて教授法、及びカリキュラムの研究を継続しています。次に講師の採用に関してですが、当校では講師を採用する時に約1ヶ月間の研修を行います。仕事柄、多くの教育関係者と話す機会がありますが、着任前の講師研修を1ヶ月も行う学校はあまりないようです。それ以外に、着任後も主任講師が定期的に各講師の授業を見学して、定期研修を行います。講師はただ英語が話せれば帰国子女の生徒様を教えられるとは限りません。当校でも以前、アメリカで英語の先生をしていた人が授業を受け持った事があります。海外で英語の先生をしている人が、必ずしも帰国子女に適した教え方が出来るという事にはならない様です。
 
 それでは講師には何が必要かというと、帰国子女の生徒様は海外滞在年数によって語学力に差が生じると言う事を理解することです。次に前述したように、帰国子女の方々は日本に帰ってくるとカルチャーショックに直面すると言う事も理解する事が必要です。更に当校では、授業を行う時も一方的な授業ではなく、相手の会話を引き出す技術を身につける事が要求されます。従って、当校では定期的な研修で効果的な教授法について話し合う機会を設けています。
 
このような努力の積み重ねが現在の定評ある帰国子女教育に繋がったのだと考えます。但し、世の中の進歩と共に生徒様のご要望は常に変わると思いますのでこれからも研究を重ねて行きたいと思います。


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